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静岡地方裁判所 平成4年(わ)66号 判決

本店の所在地

静岡県浜松市初生町八九八番地の九

有限会社

知立土地住宅

(右代表者取締役 山村知子)

(元右代表者代表取締役 鈴木朗)

本籍

静岡県浜松市砂山町九二三番地

住居

同県同市初生町八九八番地の九

会社役員

鈴木朗

昭和一七年一月一一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宮崎雄一及び弁護人橋本正夫(私選)各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社知立土地住宅を罰金一八〇〇万円に、被告人鈴木朗を懲役一年二月に各処する。

被告人鈴木朗に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社知立土地住宅は、静岡県浜松市初生町八九八番地の九に本店を置き、不動産売買及び仲介業等を目的とする資本金一〇〇〇万円の有限会社であり、被告人鈴木朗は、被告人会社の設立当初から平成四年六月三〇日まで代表取締役として被告人会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人鈴木朗は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空外注費を計上する等の方法により所得の一部を秘匿した上、平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が二億〇三三三万四五〇二円、課税土地譲渡利益金額が一億六九四七万二〇〇〇円であったのにかかわらず、平成二年一一月三〇日、同市元目町一二〇番地の一所在の所轄浜松西税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が二四五万五九八五円、課税土地譲渡利益金額が一億六六三九万円でこれに対する法人税額が四八七八万〇六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一億三〇一五万八八〇〇円と右申告税額との差額八一三七万八二〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人鈴木朗の当公判廷における供述

一  被告人鈴木朗の検察官及び大蔵事務官(一四通)に対する各供述調書

一  鈴木のりの検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  白井智恵子の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  山本さと子の検察官に対する供述調書

一  太田滋の検察事務官及び大蔵事務官に対する各供述調書

一  萩原一、藤原敬士、木村宏、名取寛及び田口美佐男(二通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書六通

一  大蔵事務官作成の証明書二通

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  登記官作成の商業登記簿謄本二通

(法令の適用)

被告人有限会社知立土地住宅の判示所為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、その所定金額の範囲内で同被告人会社を罰金一八〇〇万円に処することとする。

被告人鈴木朗の判示所為は、同法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で同被告人を懲役一年二月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 伊東一廣)

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